ヨーロッパ周遊をわりと詳細に振り返ってみた【フランス】
フランス(パリ)
バルセロナのサンツ駅からフランスのトゥールーズまでいき、そこから夜行列車でフランスのパリへ。
スペインからフランス入りするという事で、空港同様ベルトコンベヤで持ち物検査があった。
座席はほとんどが同一方向を向いているが、割り当てられた座席がなぜか対面タイプで、知らない人とずっと対面で気まずかった。
日本の新幹線のように席を回すことはできない。
対面シートは1車両につき1組だけだったので、運が悪かったようだ。
トゥールーズに着いたら寝台列車に乗り換えた。寝台列車はクウェットという簡易寝台で3段ベッドが2つあるタイプだった。
3段なので一番上のUpperアッパー、真ん中のMiddleミドル、一番下のLowerロワーの3種類ある。Lowなので一番下。
電気があるのか無いのかわからなかったが、車内はすでに暗かった。よく見ると僕以外室内は全員女子だったので車両を間違えたのかと思ってチケットを見直したが合っていた。
このチケットは自販機で買ったため性別の選択を間違えた説ある。
ただ、メールボックスから当時の確認メールを発掘して確認したら特に男女とかの記載がなかったので、やっぱ間違ってはいないと思う。
すでに経験済みだが、ユースホステルやドミトリーも普通に男女混合部屋はあるので寝台列車くらいでびびる必要はなかった。
6時ごろに到着した。早朝のパリはかなり寒かった。風邪が悪化しないか心配だった。
地下鉄の乗車券は券売機だと1枚1.4ユーロ。ガイドブックによると、窓口のカウンターでカルネットという10枚組の乗車券を買うと、12ユーロで買う事ができて券売機よりも割安と書いてあったので、それに従って窓口へ行きカルネットを購入した。
一度改札に切符を通すとその時刻から1時間半以内なら無料でバスに乗り換える事ができる。そのため改札から出ると要らないチケットないかー、と話しかけてきて無賃乗車しようとする奴がいる。
パリでは改札に入るときは切符が必要だが出るときは切符を通す所がなく、一度入れば切符がなくても出られるような仕組みになっている。
そのため、タダ乗りしてくる人が一定する存在する。
僕は1回遭遇したが、出口でこちらが出てくるのを見計らって、改札が開いた隙に向こう側から強引に割り込んでタダ乗りしてくる。出口の改札は人が一人通れるくらいの広さなので、向こうの勢いに押されて押し戻される感じだった。
入場するときは、改札に銀色の3本の回るやつがあったため、日本のように強引に通過することができない。しかし改札の出口が左右に開くゲートタイプなので、そういうタイプだと割り込んでくる奴がいる。どのタイプの改札を導入しているかは駅によるので全部が全部そうではないとは思う。
タダ乗りが一定数いるので、たまに私服警察が車内循環して切符を確認している。
切符を見せなければ罰金
切符は降りるまで無くさないようにしよう。
夏になると大抵のフランス人は南のリゾート地に移動するため、パリは夏が閑散期にあたる。そのため宿は意外に安く、ユースホステルに一泊20ユーロ台で泊まれたりする。
今回、パリは3泊4日の滞在。見所が多いのでこのくらいの日数は必要だと思う。
モンマルトルの丘の上に立つサクレ・クール聖堂、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、エトワール凱旋門、エッフェル塔、ヴェルサイユ宮殿と言った見所を回った。
まず宿の近くのモンマルトルの丘に立つサクレクール大聖堂に行ってみた。
聖堂は大きなモッコリ一つと小さなモッコリ二つの計3つのモッコリで構成されている。丘の中継地点から撮影した白亜の聖堂は素晴らしい芸術だった。
丘の上からパリ市内を一望できる。聖堂内の見学は無料で、有料だが屋上に上がればさらに高くから市内を見渡すことができる。
丘の上で既に充分な高さなので行かなくてもいいと思う。笑
聖堂に行くまでの途中の道のりは注意が必要。ミサンガ売りの黒人数人が観光客を狙って待機している。行く手に立ち塞がり、こちらが日本人だとわかると
「ナガトモ」
「ホンダ」
とか言いながら馴れ馴れしく近づいてくる。腕にミサンガを巻こうとしてくるが決して巻いてはいけない。
最初は無料だと言っておきながら後から有料だったというパターンだ。もし黒人がいたら迂回して絡まれないように注意しよう。
今回は乗り切ったのだが、あとで行くイタリアのミラノでは同様の手口で金を請求された。「No」とはっきり断る事が大事だが、日本人という事で甘く見られているためなかなか諦めてくれない。はっきりと断り続ける事が大事。
ノートルダム大聖堂はパリに流れるセーヌ川の中洲にあるシテ島にある大聖堂。火事で損傷したのは記憶に新しい。火災が起きる前に完全な姿を見ることができてよかったと思う。
内部に入場するために列に並ぼうとすると、突然謎のおじさんに話しかけられた。
自称神奈川に住んだことがあるというその男は、ノートルダム大聖堂に入るにはお金が必要であり、10ユーロくれればチケットを買ってきてあげる、と言ってきたのだった。
ガイドブックには無料だと書いてあるので、「ここは無料のはずだ」と言ったのだが、最近入場料が必要になった的なことを言われた。確かに、最新のガイドブックでも記載されている情報は過去の編集した時点のものなので、最新の情報では入場料が必要になった可能性もあり得る。しかし教会の入場に10ユーロは高いと思ったので、やはり怪しいと思い無視した。
男は諦めて去っていった。
やはり無料だった。
ここに限った話ではなく、世界中どこでも、観光客の無知につけ込んでくる輩がいるので注意しよう。こうならない為には事前の情報収集が肝要。
内部を見学した後は屋上へ登ってみた。こちらは有料で、当時10ユーロくらいだったと思う。
入場制限がかかっているので入場可能時刻を記入したカードかメモ(よく覚えていない)を渡された。予定時刻まで時間を潰し、螺旋階段を上がって屋上へ上がった。
上から見たパリの景色はこんな感じだ。
ノートルダム大聖堂のあるシテ島はパリで最も歴史のある地区の一つであり、パリの中心地であるとされている。
パリの心臓部であるシテ島から眺める360度のシティービューは圧巻。パリの展望スポットがあるが、おすすめできる一つだ。
アラブ世界研究所からみたノートルダム大聖堂。
わりと近場にアラブ世界研究所という場所がある。ガラス張りの変わった建物で、屋上に無料で上がれる穴場的スポット。7階建でそこまで高くないが時間があったら立ち寄ってみてもいいかもしれない。
ノートルダムのすぐそばにはルーヴル美術館がある。
入館するためには透明ピラミッドに並ばないといけない。ここから地下空間に入り、チケットカウンターか券売機で入場チケットを購入する。
大変人気で常に行列ができており、夏の雨の日でも1時間半くらい並んだ記憶がある。
ピラミッドからしか入れない雰囲気を醸し出してはいるが、ルーヴルは地下のショッピングモールとつながっているので、ショッピングモールの入り口から入って中でルーヴルのチケットを買うこともできそうな感じがした。ただし公式サイトをによるとピラミッドに並ばないといけないらしい。
雨が降ると、傘やレインコートを売って歩く商人が出てきて一稼ぎしようと企んでいる。
入場が15ユーロ、オーディオガイドが5ユーロだった。オンラインチケットは並ぶ時間が短くて済む(公式サイトによると30分以内)が窓口で買うより2ユーロ高い。
オーディオガイドはなんとニンテンドー3DS LL。デカくて持ちづらいが2画面で見やすい。
ルーヴルの三大貴婦人、「ミロのヴィーナス」、「サモトラケのニケ」、「ダ・ヴィンチのモナ・リザ」は必見。
ミロのヴィーナスは1820年にギリシャのミロ島で発見された。
ギリシャ神話の愛と美の女神アフロディーテ、ローマ神話でヴィーナス(ヴェヌス)と呼ばれていた女神だと考えられている。
ミロ島で発見されたヴィーナスだからミロのヴィーナス。
ギリシャのパロス島産の大理石でできた高さ2メートルもの像。女性で2メートルとか、大男ならぬ大女の部類に入りそう(笑)
数学の教科書で黄金比の説明に出てきたような気がする。
発見当時から腕がなくなっていたが、近くでヴィーナスのものらしきリンゴを持った腕が発見されている。
これは、ギリシャ神話でトロイのパリスがヴィーナスに黄金のリンゴを与えた描写があることに由来する。
作者不詳だったが、像の乗っていた台座からアンティオキア出身のアレクサンドロス作であると特定された。アンティオキアは古典時代には存在せず、ヘレニズム時代にできた植民地とのこと。ルーヴル美術館は当初古典時代の作品だと推測しのちにヘレニズム時代のものと認めたが、今でも作者不詳の作品として展示している。
ミロのヴィーナスに関するこんな逸話がある。
あるイギリス人男性がミロのヴィーナスの石膏レプリカを、おそらくサンプル画像を見ずに注文した。届いたヴィーナスに腕がなかった為に途中で破損したと思い込み運送会社を訴えたのだが、なんと彼は勝訴した。
サモトラケのニケ
サモトラケ島で破片の状態で発見されたものを修復して再現したもの。右の翼は発見できなかったため左の翼をコピーして再現した。
勝利の女神ニケが降り立った瞬間を再現しており、広がった翼や布がはためく表現から、彫像であることを忘れさせるような生き生きした感じが伝わってきた。
ギリシャ読みだとニケで、英語読みだとナイキになる。
モナリザはルネサンス期の女性の肖像画の先駆けと考えられている。
この女性のモデルが誰なのかは謎のままだ。
ダ・ヴィンチの伝記を書いたジョルジョ・ヴァザーリによるとフィレンツェ商人フランチェスコ・デル・ジョコンの妻リザ・ディ・アントニオ・マリア・ゲラルディーニであるとされている。
また、一度は聞いたことがあると思うがモナリザがダ・ヴィンチの自画像という説もある。この説は、ベル研究所のリアン・シュウォーツが行った、ダ・ヴィンチの自画像とされるスケッチとモナリザのデジタル解析の結果がよく似ていることから唱えられた。しかし自画像とされるスケッチが本当に自画像なのかがわかっていない為、真偽の程は不明。
大きさはタテ77センチ、ヨコ53センチしかない。これが、しばしばモナリザが小さいと言われる所以だ。実際に見てみると確かに小さかった。
小ささに加え、絵から半径3メートルくらいは侵入禁止になっているのでズームしないで撮るとこんな感じになる。ズームすると画像が粗くなるので望遠レンズを持っていくか、望遠対応のスマホで撮影しよう。
三大貴婦人以外はいまいちピンと来なかったりする。なんか筆遣いや色遣いがすごい、とか構図が壮大、とか彫刻の精度が高いとかそんな感想を抱いた。(小並感)
ルーヴル美術館の傑作一覧が紹介されているページがあるので事前にリサーチしておこう。特にドラクロワの「民衆を自由に導く女神」を見なかったのは後悔している。
https://www.louvre.fr/jp/routes/ルーヴル美術館の傑作
地下一階と地上3階フロアに跨っており、ガンダムに出てくるホワイトベースみたいな複雑な形をしている。
公式サイトには館内の見取り図があるので事前に回る箇所を決めたり、見るべき作品をピックアップしたり、館内の構造を把握するのに役立てよう。公式サイトは日本語対応なので問題なく観覧できる。
ルーヴルは所蔵作品数が膨大で、軽く見て回るだけでも2〜3時間くらいかかる。体力に自信のある人でも疲れると思う。疲れてくると作品を注意深く見る気力も無くなり、ササっと見て回ってしまうがそれだともったいない。
館内には休憩用の椅子があり、カフェやレストランも併設されているので適度に休憩を取ろう。しかし併設されたカフェはやや強気な価格設定。
チケットはバーコード式でその日中なら再入場できるので、ショッピングセンター内のレストランやフードコートも活用できる。休憩を挟みつつ、ルーヴルの滞在を有意義なものにしよう。
ルーブル美術館から一本通りを挟んだ反対側には園庭があり、そこにカルーゼル凱旋門という小さな凱旋門がある。
ルーブル美術館とカルーゼル凱旋門の同一直線状に有名なシャンゼリゼ通りがあり、さらにそのシャンゼリゼ通りの終着点の放物線状に6車線伸びた広場の中心にあの有名なエトワール凱旋門がある。
横断歩道はないが、地下鉄の駅の地下通路と内部でつながっているので一度地下に潜れば入ることができる。間違って地上から突っ込まないようにしよう。
凱旋門もノートルダム同様螺旋階段を登る。
門の内部にはナポレオンの像と、ミニ凱旋門がある。世界大戦の兵士の墓標としても使われている。
さらに階段を上がって屋上へ。外からの眺め
凱旋門からの風景を撮影した時間が日本時間で3時半なので、パリは7時間遅いことを考えるとパリ時間で20時半と言うことになる。それでも8月中旬はこれくらいは明るい。
パリはオフィス街がどこにあるのかと疑問に思ったことはないだろうか。
この写真のように、ビルが立ち並んでいる一画があることに気づくだろう。特に目を引くのは門のような形をしたビルだ。この特徴的な建物をグランダルシュといい、オフィスビルであり展望台でもあるパリの新名所。
このビルはその門のような形と、先ほど書いたカルーゼル凱旋門とエトワール凱旋門を結ぶ同一直線状にあるため、第三の凱旋門と言われることもある。(遠目から見るから門のように見えるが、実際には四角い箱にしか見えない。)
ガイドブックには載っていなかったので全く感知していなかったし、日程の関係から訪れなることもなかった。これがフランス、あるいはパリに特化したガイドブックなら載っているのだが、複数の国にまたがるガイドブックだと一つ一つの国の情報量が薄くなり、昔からある老舗的観光名所だけが載せてあるだけで新名所には弱いことがわかった。
ルーヴルの三大貴婦人と並ぶ、パリが誇る鉄の貴婦人エッフェル塔
凱旋門、サクレクール大聖堂、ルーブル美術館などが見える。
夜のエッフェル塔は黄金にライトアップされるので夜に行くのがおすすめ。夕方の時間に合わせて塔に登ればパリの夕暮れと夜景をダブルで鑑賞することができる。
エッフェル塔は暗くなると毎時ちょうど(21:00とか22:00)に5分間電球がチカチカ点滅する。何の芸当もなくただチカチカするだけなので見れてもそんなに嬉しくない。
夏の期間は凱旋門とエッフェル塔は夜12時くらいまで開いているので夜景を見るにはぴったりだ。
夕方くらいに行って夕暮れと夜景を楽しむプランがいいと思う。ただし、同じ考えの人がたくさんいるため行列ができ、2時間くらい(場合によっては3時間以上)並ぶという事態も起こる。
ヴェルサイユにこなければパリに来たとは言えない、という名言がある。
3泊4日で時間的に余裕があったのでパリ郊外にあるヴェルサイユ宮殿まで足を運んだ。地下鉄の終着駅からさらにバスで10分くらい揺られて到着。
宮殿の外には長蛇の列が待っていた。並ぶのだるい笑
館内の入場は有料だが庭園は無料。
お金がない、長蛇の列に並びたくないと言う思いが強かったため庭園の見学にとどめた。といっても敷地面積が広大なため無料で見学するには充分すぎるボリューム。見応えも充分。
宮殿の前には太陽王ルイ16世の銅像が出迎えてくれる。左右対象の噴水や庭が美しい。
カートを借りて回ることもできる。マリーアントワネットの離宮もあるが入り口から2kmほど離れているのでめんどくさくて行かなかった。
イギリス→スペイン→パリと来て、周遊のちょうど中間地点で疲れも出始めたということもあり、この時期は中だるみの時期だった。
パリで苦労したのはトイレ。公衆トイレが少ないので探すのに苦労する。また、便座がないこともある。
なぜか知らないが便器に便座をつけると便座が壊されるという事件が発生するらしく、壊れた便座を撤去してそのまま直さなかったり、壊されるとわかっているので最初から便座を付けないという事情による。
日本のトイレとは違うと言うことをあらかじめ覚悟しておこう。
女性トイレは知らない。
フランスからドイツ入りするとき、時間をつぶすのにバーガーキングに立ち寄ってパンケーキを食べていたら、歯が痛いから治療のため金をくれという十代くらいの少年が現れた。
嘘か本当か分からないのでとにかく逃げることしか考えていなかったが、朝早かったため店内には他に誰もおらず助けを求めることもできなかったのでどうしようかと思った。とりあえず刺激しないようにやんわりと断って立ち去った。そしたらものすごい形相で追いかけて来たので全力で逃げた。
と言うのは嘘(笑)。追いかけて来なかった。
ところで、パリ症候群というものを聞いたことがある。
パリ症候群(パリしょうこうぐん、仏: syndrome de Paris, 英: Paris syndrome)とは、異文化における適応障害の一種であり、カルチャーショックの一種。「流行の発信地」などといったイメージに憧れてパリで暮らし始めた外国人が、現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い症状を訴える状態を指す精神医学用語である[2]。「憧れを抱いてパリに住む日本人を襲う適応障害の一種。日常生活のストレスが高じ、妄想や幻覚、自律神経の失調や抑うつ症状をまねく」ともいう[3]。
ウィキペディアより https://ja.wikipedia.org/wiki/パリ症候群
最初は花の都パリに憧れがあったが、実際に訪れてみるとその華やかなイメージとは裏腹に、立ちションやゴミなどで幻滅するというものだ。
パリに立ちションスポットが物議を醸したのは記憶にあたらしい。
https://www.excite.co.jp/news/article/E1534418625131/
また、ヨーロッパ北部は常に曇りがちで陰鬱な雰囲気があり、花の都という名前から想像した晴れやかな雰囲気との違いに幻滅するというのもあると思う。
メディアの情報によるところが大きいのでメディアの情報は鵜呑みにしないように心がけたい。
僕の場合は汚めな安宿に宿泊していたのでそもそもの求めるハードルが低くてそこまで気にならなかった。
ただ、モンマルトルの丘のミサンガ黒人、ノートルダム大聖堂の入場料おじさん、地下鉄の改札を逆走、そして歯が痛い少年などトラブルが多発してガッカリはした笑。
パリは近年、ノートルダムが焼失し、テロの脅威があり、ストライキで長距離鉄道や市内の公共交通機関に運休や遅延、ルートの変更などのトラブルが発生している。行く場合は情報を集めて適切に対処しよう。
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