僕が大学院に行かずに就職した理由
大学2年後半から3年の前期にかけてが就職か大学院進学するかを決める時期だと思う。
僕は4年の初めまで大学院進学希望だったが、最終的には就職することに決めた。そこで、なぜ僕が就職したのかを説明していこうと思う。
就職か進学か迷っている人は参考にして欲しい。
目次
最初は院進学希望だった
僕は最初は大学院に行くつもりだった。それは主に「働きたくない」という思いと、働かない口実によるものだった。
働きたくない
僕が院進学を考えていた1番の理由がこれ。
なぜ働きたくないかというと、社会に出てやっていける気がしなかったから。
僕は学生時代にバイトを2つ経験していたが、もともと記憶力が低いのでその両方とも仕事が覚えられなかった。
また、コミュ障ぼっち気質の僕はバイト仲間と打ち解けられず距離感を感じていた。そのため、わからないことを聞こうにも助けを求められずそのままスルーすることもあった。
仕事ができず、バイト仲間とも打ち解けられない気まずさから、余計に仕事ができないという悪循環にハマっていた。
バイトは2つとも半年〜8ヶ月以内に辞めた。バイトですらままならないなら社会人としてやっていけるわけがない。
単純に働くことがめんどくさいというのもあった。
社会人になれば朝早起きだし、バイトと違って1日8時間労働が必須になる。早起きも8時間労働も嫌だった。
仕事は覚えられるか不安だし、上司とか同期との人間関係も難しそうだったので就職した後のことを考えば考えるほどめんどくさくて嫌になった。
働いたら負けだと本気で思っていた。
院進学で成長できる気がした
働きたくなかった僕は院進学の理由を探していた。そこで見つけた理由が、院進学すれば成長できるというものだ。
理系だったので院で専門知識を身につければエンジニアとして成長できると感じていた。専門知識を深く身につければ選択肢が増えそうだし、基本的に学部より収入は上なので安定した生活ができそうだと思えた。
また、研究を深く探求していく過程で社会人全般に必要な課題解決能力が身につき、根気強く研究に打ち込むといった精神面での成長もできるのではないかと期待していた。
生涯年収2000万アップ
大学院進学のメリットの一つとしてあげられるのが、生涯年収が増えるというもの。特に理系の場合は高給な専門職につける可能性が高くなり、生涯年収が学部に比べて飛躍的に向上するといったメリットがある。
僕の大学では教授が院進学の啓発のためにちょっとしたプレゼンまで行っていた。教授いわく、院に進めば生涯年収が平均2000万アップするので、2年間に費やした学費は元が取れるどころか極めてたかいリターンをもたらすという。
大抵の大学では、同じ大学内で学部から院に進むと授業料が30〜50%割引になる優遇措置が取られるようだ。僕の大学では、学部は授業料が年間150万だが、院に進むと100万円に下がる。
つまり、教授の話が本当なら2年間で200万円の授業料を払うだけで生涯年収が2000万増える。これほど美味しい話があるだろうか。
このような理由から、大学3年生の終わりまでは進学希望で、就活は一切行わなかった。
院に行かなかった理由
院に進学するためのいろんな理由が挙げられたが結局は就職を選んだ。その理由はやりたいことがなく、2年後のイメージが描けなかったこと。2000万円の収益を理解できなかったこと。すぐにお金が欲しかったことが挙げられる。
2年後の自分をイメージできない
1番の理由は2年後の自分をイメージできなかったことだ。
僕が院に進学したかったのは消極的な理由からだ。研究が好きだとか、研究を極めたかったわけではない。学部での研究を院でもやりたいとは思えなかったし、他にやりたい研究が具体的に決まっているわけでもなかった。
やりたいことがないので2年後の自分のイメージを具体的に描くことができない。
院に進学すれば何かしら意識が変わったり成長できるような気がしていた。
僕は大学入学当初、友達ができてバイトも勉強もしっかりこなしてオンオフ充実した4年間を過ごしたいと思っていた。しかし振り返ってみると結局思い描いたような学生生活ではなく、成長もあまりしていないと感じざるを得なかった。
特に理由もなく院に進学しても、結局は学部と同じことになると確信したので、2年間を棒に振りたくないと思うようになった。
やりたいことが見つからないから院に進むという選択もある。実際、院進学の理由として、2年間猶予を作ってその間にやりたいことやつきたい仕事を探すというのがある。
ただし進学しても2年後には就職が待っている。地に足を付けない漠然とした理由の院進学では、猶予をつけても結果は同じだと感じられた。
生涯年収が増えることへの疑問
生涯年収が2000万増えると聞くと、最初はすごいメリットだと感じる。
しかし、冷静に考えると本当のところはわからない。平均なのでどれだけばらつきがあるのかも考慮する必要がある。
院進学した二人の生涯年収を例に考えてみる。
極端な話、片方が生涯年収が4000万円増えたのに対し、もう片方が0円だった場合。
(4000+0)÷2=2000万
このような例でも院進学した方が生涯年収が2000万円増えると言えてしまう。
物覚えが悪い僕が2年間大学院で研究しただけで2000万円も多く収入を得られるというのは明らかに間違いだと感じた。
お金が欲しい、一人暮らしがしたい。
僕は先ほど書いた通りバイトが長く続かなかったので大学3年の冬以降は収入が途絶えていた。
服やネット代、昼食代、たまに遊びにいくお金などのやりくりにも苦労していたので、早くこの生活から抜け出したい思いが強かった。
僕は実家に自分の部屋がない。そのため一人暮らしして自分の部屋が欲しかった。僕は基本引きこもりなので家にいることが多いのだが、家にいすぎても親に迷惑がかかるので土日は大学の共有スペースで勉強したりネットサーフィンしていた。
それでも昼食代や飲み物代を少しづつ払っていくと積み重なって大きな出費につながる。
家賃補助のある企業に就職して悠々自適な一人暮らしを謳歌したい願望があり、就職を選んだ。
院に進学して貧乏な学生生活をあと2年も続けることを考えると、就職してお金を稼いで自活する方を優先すべきだと結論した。
就職してよかったこと
お金が手に入る
就職したことでお金がもらえて自立できるようになったので生活が豊かになった。
僕は念願の一人暮らしを実現させた。部屋に机と椅子、モニターを設置して快適なネット環境を構築したので好きなだけネットサーフィンや動画鑑賞が出来る。
給料を使って欲しかった靴や服も買えた。
自分で稼いだお金でやりくりしていかなければならないため、お金に対する見方も変わった。将来のことを考えて貯金したり資産運用も始めた。地に足を付けて考えられるようになったと思う。
仕事に対する姿勢の変化
仕事は成果を出さないといけないこともあり、日々の業務に集中できるようになったと感じる。
しっかり働けばキャリアになるし、成果を出せば昇給も望めるのでバイトのときと比べて仕事に打ち込めている。業務内容も覚えられるようになった。
仕事内容に格差があることも知っておこう
院進学と学部では先ほどあげた収入の面以外にも仕事内容で格差がある。
大学院で学んだ人は専門知識や技術が身についていると考えられているため、即戦力として扱われるようだ。そのため早いうちから実践的な業務を任される。
僕の配属先の具体的を示そう。
配属先の業務内容は、設計部署から渡された部品の強度を計算して結果を分析し、その結果を設計部署にフィードバックするというもの。
強度の計算は主に海外の子会社が行い、計算結果の分析・考察、設計へのフィードバックは主に日本で行う。計算はマニュアルに沿って操作する作業系の業務となっている。
学部卒の僕は計算、すなわち作業系の業務が割と多い。話を聞くと院卒の同期の方は分析・考察の業務が多いようだ。
院卒と学部卒で業務内容に差がないと言われても、院卒の方が上流の工程に回されやすい。
そのためいざ就職すると思うような仕事ができない可能性もある。
就職するという選択肢はあり
僕が院進学から就職に至った経緯を説明した。
将来やりたいことが明確に決まっていなければ、就職するという選択は大いにありだと思う。
個人的には院に進学した方がいい、してもいいのは以下の条件の場合だ。
- 研究したいこと、身に付けたいことが明確に決まっている
- 院卒が必須の仕事につきたい
- 就職のタイミングを逃した
- 生涯年収アップに可能性を感じる
- お金に余裕がある
逆に
- やりたいことが決まっていない
- つきたい仕事も決まっていない
- お金に余裕がない、お金が欲しい
という人は学部卒で就職を選んだ方がいいと思う。
明確な目標や将来への計画がなければ、だらだらと2年間を過ごしかねない。就職した方が収入ができて自立した生活を送ることができるので結果的には満足できるだろう。
業務内容は学部卒と院卒で差はあるが、自分から積極的に行動していけば希望の業務に携われるのではないだろうか。
近年は転職も浸透してきているので、自分に合っていない、やりたい仕事ができないなら転職するという選択肢もある。
院進学しようか迷っている人は一つの意見として参考にしてほしい。